回を追うごとに観客が増え“常連さん”も何人かいらっしゃいますが、今回は40人の来場があり、あわてて席を増やしました。人数が増えると後ろのほうは字幕が見づらくなってしまうのですが、そこは皆さん慣れたもの、椅子をずらしたり、椅子に座布団を敷いたり正座したり…ベストポジションで楽しんでいらっしゃいました。
この作品は笑いあり涙ありの人情もので、俳優の演技や音響効果だけでも十分に内容を追えるので、音声ガイドはできるだけシンプルに客観的な場面状況と人物の表情・行動(所作)等を伝えています。
ストーリーの中で、この作品の舞台となる鈴木オートに集団就職で上京した少女がやって来るシーンでは、鈴木オートの建物の全容が映し出され音声ガイドも画面どおりに説明していき最後に「鈴木オートの錆びた看板」と読みました。このとき会場から笑いが起こったのです。“錆びた看板”の言い方がいかにもしょぼく、そこには映っていなかった少女の心情=立派なビルヂングの自動車会社を期待してきたのに…町の修理工場、しかもボロい…=をも想像させる語りで、後のストーリーの展開にもつながるものでした。
音声ガイド台本を見ると、このシーンでは3パターンの看板の説明が用意されていました。読んだのは一番シンプルな「鈴木オートの錆びた看板」だったのですが、声の表情で伝えられるものもある、また、そんな音声ガイドに反応した笑いがあってもいいんだと、ライブオープン形式の魅力を再確認しました。
『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005年)
音声ガイド制作 『ALWAYS 三丁目の夕日』音声ガイド制作チーム
音声ガイド監修 瀬尾亜希子
ライブ音声ガイド 齊藤具子
(記 清水)