私たちBmapにとって、監督に直接携わっていただくことは、各々のシーンの的確な意図を知る、とても有難い機会でした。
(写真:東京都障害者福祉会館で松井久子監督を囲み、意見を伺うBmapメンバー)
「折り梅」は、ガイドの量を少なく、映像や台詞で想像できそうな言葉を極力削り、そのシーンから「感じ」られるように動作を客観的に伝える事を目指して作りました。
ワンシーンを皆で何度も観て、この表情を何と表現しようかと。何十分もかかってそのシーンの意味を紐解いて、伝えるべき項目を絞っていきました。
監督のご指摘は、映像からの音と音声ガイドが一体となってひとつの小説のように語る、という可能性です。
映像を簡潔に表したいがために不自然な言葉使いになると、作品全体の雰囲気、盛り上がり、流れが崩れてしまいます。ここぞという大事な場面では分かりやすく感情を表現して、盛り上がりにガイドも乗っていい時もあることがあることを教えていただきました。担当する作品は何度も何度も観るので、映画をより深く感じられるのが醍醐味だと思っていましたが、なかなかどうして、やはり作った人の思いにはそう簡単に近づけるものではないのです。自己満足にならず、障がいのある人達とも一緒に楽しめるよう、映画を観る力や感性を身につけていきたいと思います。
「ユキエ」は台詞の9割以上が英語のため、英語の台詞の上に日本語の台詞をかぶせる「ヴォイスオーバー」という手法と音声ガイドで構成しました。「全体的な流れのなかに、台詞と音声ガイドがとても自然に情緒的に入っている。」との感想を頂きました。けれど、男性の台詞を女性が話すと(Bmapは男性の語り手がいません)理解しづらい部分が残り、これは課題となりました。音声ガイド担当の「落ち着いた話し方のガイドぶり」には大変満足して頂けました。
松井監督には、Bmapの活動をとても共感をして頂け、今後も協力を…とのお言葉も下さいました。そして「映像を全部説明するのではなく、そのシーンが意図する内容を表現してほしい。」と、貴重なアドバイスも頂戴しました。私たちも、そのメッセージを受けて、「映像からの音や音声」と「音声ガイド」が一体となる映画作品を目指していきたいと思います。