2013年03月25日

3月17日 『駅前旅館』上映を終えて

今、1つ肩の荷が下りて、宿題をやっと提出した小学生のような気分です。

東京近代国立美術館フィルムセンターから『駅前旅館』のシナリオを手に入れ、DVDを見て愕然!としたのは昨年12月のこと。シナリオは第1稿で、実際の作品の台詞とは似ても似つかないもの。第1稿は原作に忠実ですが、映画は俳優が自在に個性を発揮して台詞が矢のように飛んでくるのです。これではあの画期的ソフト「読み取り革命」の出る幕がないではありませんか。それから、自力で台詞おこしをすることン週間。字幕入りDVDに感謝感激。

音声ガイドの台本作りが次の関門。
速射砲のように繰り出される台詞の合間をぬってどこまで入るか、私は殆ど諦めてしまいましたが、ほんの隙間を見つけて、かなり意訳して入れて良いと教えてくださったのは瀬尾理事長です。そして、清水さんは色っぽいシーンの語彙が豊富。

散々のメンバーモニター会を経て、更なる関門はタイミング良く読み上げること。
でもいつの間にか俳優のやり取りに聞き入ったり、観入ったり・・・

『駅前旅館』は、日本の名画100傑に数えられる類の映画ではないかもしれませんが、初めての音声ガイドで、観客の皆様と一体感を共有できたのは、ひとえに作品の持つ力強さに支えられたからです。(玉井 ふさえ)


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満員御礼の上映会。この作品の知名度、喜劇の集客力に驚かされました。

古い作品のせいか、DVD化されてはいても音質が悪く台詞が聞き取れないシーンが多いのです。思わぬかたちでの 字幕大活躍!でした。が、満員の会場(フラットな会場)ではその字幕が後方では見えにくかったという残念な結果になってしまいました。
 
丁々発止のコミカルな場面では極力音声ガイドを減らし、また、思わずニヤリとするシーンでは観客の想像力に寄り添えるようなガイドに努めました。和やかな雰囲気の中、大笑いが起きたりプッと吹き出す人がいたり、もちろんそれはこの作品自体に対する反応なのですが、少なくとも音声ガイドが “邪魔” にはなっていないことが確認でき、共に楽しめるのもライブ上映ならではです。(清水 優子)





『駅前旅館』(1958年)
音声ガイド制作 玉井房恵、清水優子
音声ガイド監修 瀬尾亜希子
ライブ音声ガイド 玉井房恵